便利なクラウド型パスワードマネージャーですが、利用方法によっては重大なセキュリティリスクを伴うことをご存知ですか?私は、長くて複雑な文字列をパスワードに設定することを訴えていますが、人間の記憶に頼るのは不可能に近いので、パスワードマネージャーの利用をオススメしています。しかし、業務用ID/パスワードをパスワードマネージャーに保存し、従業員のプライベート端末でも共有している場合に、企業の大切な情報が攻撃者に奪われるリスクがあります。
この記事では、日本経済新聞の報道を参考に、このリスクの仕組みや対策について、ITに詳しくない方でも理解できるよう分かりやすく解説します。


クラウド型パスワードマネージャーの利便性と潜むリスク

プライベート端末との同期で起こる問題とは

クラウド型パスワードマネージャーは、どの端末からでもパスワードを簡単に管理できる便利なツールです。しかし、日本経済新聞はこう報じています:

「業務用端末で『グーグル・パスワードマネージャー』などクラウドベースのパスワードマネージャーをプライベートアカウントによって利用している場合、業務システムの認証情報が、セキュリティー対策の甘いプライベート端末に同期される。そしてプライベート端末が『インフォスティーラー』と呼ばれるマルウエアに感染すると、パスワードマネージャーに保存されていた認証情報がローカルのファイルなどから盗み出される」​。
2025年1月28日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC144680U5A110C2000000/

これは、プライベート端末のセキュリティが十分でない場合、業務システムの重要な情報が簡単に攻撃者に奪われる可能性を示しています。つまり、便利だからと言って業務用のID/パスワードと、プライベートのID/パスワードを混在させてしまうと、セキュリティ対応の甘いプライベートのPCから業務用のID/パスワードが流出してしまうことがあります。


インフォスティーラーとは?その危険性を解説

インフォスティーラーの役割

「インフォスティーラー」とは、感染した端末からIDやパスワード、クレジットカード情報などを盗み出すために作られたマルウェアの一種です。このマルウェアは、次のような手口でプライベート端末に侵入します。

  1. 偽の広告(マルバタイジング)をクリック
    ウェブ広告を装ったマルウェアが仕込まれたリンクをクリックすると、インフォスティーラーが自動的にインストールされます。
  2. 危険なサイトからダウンロード
    海賊版ソフトウェアや怪しいファイルをダウンロードした場合も、感染リスクが高まります。

感染の流れ

日本経済新聞(2025/01/28)より引用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC144680U5A110C2000000/

感染したプライベート端末に業務用のパスワードが同期されていると、インフォスティーラーがパスワード情報を盗み、攻撃者に送信します。この結果、攻撃者が業務システムに不正アクセスし、重要なデータが盗まれる可能性が高まります。最近は業務でもクラウドサービスを使うことが増えています。クラウドサービスはIDとパスワードが合えばどこからでもログインできてしまいますので、業務用のPCがサイバー攻撃に遭わなくても、情報流出の可能性があるというわけです。


被害を防ぐための具体的な対策

パスワードマネージャーの安全な運用

パスワードマネージャーを安全に使用するためには、以下のようなルールを導入することが重要です:

  • 業務用アカウントのみに制限
    業務用のパスワードマネージャーは、必ず業務専用のアカウントで運用し、プライベート端末との同期を防ぎます。
  • 専用のパスワードマネージャーを利用
    プライベートのPCでは使用しない業務専用のパスワードマネージャーを導入することで、セキュリティレベルを高めることが可能です。

多要素認証(MFA)の活用

万が一認証情報が盗まれた場合でも、多要素認証を導入していれば、攻撃者がシステムにアクセスするのを防ぐことができます。

定期的なセキュリティ教育

従業員に対して、マルウェアや偽広告に対する注意喚起を行い、安全なウェブブラウジングを促すことが重要です。


企業が取り入れるべき新しいセキュリティ対策

業務専用のパスワードマネージャーの導入

企業がクラウド型パスワードマネージャーのリスクを軽減するためには、業務専用のパスワードマネージャーを導入することが効果的です。特に、最新のセキュリティ機能を備えた法人向けツールを活用することで、利便性と安全性を両立できます。

業務専用パスワードマネージャーの主なメリット

  1. 多要素認証(MFA)やパスキーに対応
    多要素認証(MFA)やパスワードレス認証(パスキー)に対応しているツールを選ぶことで、認証情報が漏洩しても攻撃者がシステムに侵入するリスクを大幅に減らせます。これにより、より強固なセキュリティを実現できます。
  2. 一元管理による利便性
    業務専用のパスワードマネージャーでは、企業全体のパスワード管理を一元化することが可能です。管理者は、どの従業員がどのアカウントにアクセスしているかをリアルタイムで把握でき、セキュリティポリシーの適用や監査が容易になります。
  3. ダークウェブへのパスワード流出検知
    多くの業務専用パスワードマネージャーには、ダークウェブを監視してパスワードの流出を検知する機能があります。これにより、漏洩が発覚した際には迅速に対応し、さらなる被害を防ぐことが可能です。企業の大切な認証情報がどこでどのように悪用されるリスクがあるのかを早期に把握できます。
  4. 強力なパスワード生成機能
    複雑で長い推測されにくいパスワードを自動生成する機能が標準装備されているため、パスワードの使い回しによるリスクを抑えられます。
  5. セキュリティインシデントの可視化
    ログや監査機能を通じて、不正アクセスの兆候や問題発生時の状況を迅速に確認できます。これにより、早期対応が可能になります。

業務専用のパスワードマネージャーは、利便性とセキュリティのバランスを保ちながら、企業の重要な情報を保護するための強力なツールとなります。特に、パスキーやMFAに対応した製品を選ぶことで、より安心して利用できる環境を構築できるでしょう。


結論・まとめ

クラウド型パスワードマネージャーは便利なツールですが、その使用方法を誤ると大きなリスクを伴います。特に、業務用端末で利用する認証情報がプライベート端末に同期されることで、セキュリティの甘さが攻撃者に悪用される可能性があります。
企業は、多要素認証やパスワードレス認証の導入、プライベート端末の管理ポリシー強化、従業員教育を通じて、このリスクを最小限に抑える必要があります。安全な運用を心がけることで、便利さとセキュリティを両立させましょう。

業務専用のパスワードマネージャーとセキュリティ対策の強化

業務専用のパスワードマネージャーは、企業全体のパスワード管理を効率化し、セキュリティを強化するための有力な選択肢です。特に、パスキーやMFA対応ダークウェブへのパスワード流出検知機能を備えた製品を導入することで、認証情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます。

企業が安全な運用環境を構築するには、業務専用のツール導入に加え、従業員教育やセキュリティポリシーの策定といった総合的な対策が重要です。しかし、どこから始めれば良いか迷う方も多いでしょう。

そこで、「はじめてのセキュリティ安心セット」をご活用ください。このセットは、業務専用のパスワードマネージャーを含む、企業のセキュリティ対策を一歩先へ進めるためのツールやサポートが揃っています。初めてセキュリティ対策に取り組む企業にも最適で、専門的な知識がなくても導入しやすいのが特長です。

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